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勇敢な抵抗

ナチスがポーランドに侵攻して第二次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)した時、ポーランド人のテレサ・プレケローヴァは10代でした。それはユダヤ人が連れ去られるホロコーストの始まりでしたが、テレサたちは危険を冒してワルシャワのゲットーやナチスの粛清から彼らを救いました。テレサは成長して、この戦争とホロコーストの歴史研究の第一人者となりましたが、エルサレムのヤド・ヴァシェム(ホロコースト博物館)の「諸国民の中の正義の人」に名が刻まれたのは、邪悪な風潮に勇敢に抵抗したからです。

神は語られる

この世の苦しみの理由について、あらゆる議論がなされますが、ヨブの助けにはなりません(ヨブ記)。その理由は、ヨブの問題は信仰ではなく関係の危機だったからです。ヨブは神を信頼できるでしょうか。彼の願いはただひとつ。己のみじめな運命を説明できるお方にまみえることでした。

嘆きの中にも希望がある

バハマの首都ナッソーにあるクリフトン歴史国立公園に行くと、この国の悲劇の時代を追想せずにはいられません。18世紀、奴隷たちは船でバハマに連れて来られると、水際から延びる急な崖の階段を上らされ、多くは家族と引き離され、人間扱いされない非道な生活に入れられました。崖の上は当時の奴隷たちを記憶する公園になっています。そこには、ヒマラヤ杉に刻まれた女性たちの像が立ち、故郷と失った家族を思って海を眺めています。それぞれの奴隷の身体には、むちで打たれた傷がくっきりと残っています。

視点を変えて

私たちの町は30年ぶりの厳しい冬を過ごしました。連日の雪かきで筋肉痛になり、いくらかいても減らない雪にうんざりしました。しかし、一段落して長靴を脱ぎ、家に入ると、暖かな暖炉とそれを囲む子どもたちがいます。安全な家の中から窓の外の景色を眺めると、視点も気分も変わり、かき残した雪にいら立つのではなく、美しいモノトーンの雪景色を楽しむことができました。

喜びと公正

アジアの会議に行ったとき、冤罪で11年間も刑務所に入れられていた牧師と話しました。次に、宗教上の迫害から自国を脱出しようと大金を払った相手に裏切られ、何年もの間、先行き不透明のまま難民キャンプで過ごしている人たちの話も聞き、現実を突きつけられました。彼らは正義の欠如によって起こった出来事の犠牲者です。これは、私たちの世界がいかに壊れているかを示す例です。しかし、正義の空洞化は永遠にはつづきません。

不正を正される神

カナダのクロスカントリー選手ベッキー・スコットは、2004年6月、バンクーバーのアートギャラリーでオリンピックの金メダルを受け取りました。彼女は2002年の冬季オリンピックの銅メダリストでしたが、数カ月後、上位の2選手は禁止薬物の使用によりメダルをはく奪されたのです。スコット選手にとって、金メダルを取れたことは良いことでした。しかし、五輪会場の表彰台で自国の国歌を聴く栄誉は、不正行為によって奪われました。

静まる

支援物資を積んだトラックで穴だらけの道を走ると、裸足の子どもたちが見つめていました。突然、塀で囲まれた市長の大邸宅が現れましたが、彼はそこにいません。生活必需品にさえ事欠く市民を気にも留めず、遠い町で贅沢に暮らしているのです。